任意後見を利用すると ~任意後見制度の概要~


法定後見が判断能力が不十分になったときの制度であるのに対して、任意後見は判断能力が十分にあるときの制度です。つまり…
①将来的に認知症などになってしまったときに備えて、あらかじめ後見人を選び公証役場で任意後見契約を締結
②いざ認知症の症状が生じたときに家庭裁判所に申立を行い任意後見監督人(任意後見人をチェックする人)を選任してもらい、後見がスタート
という流れになります。
この任意後見契約においては、誰に任意後見人を選任するか、どのような施設に入居するかなどの後見事務の範囲や内容を自由に決めることができ、法定後見よりも本人の意向を反映させやすい点が特徴です。その一方、法定後見のように取消権が与えられないのがデメリットと言えます。

任意後見     法定後見
判断能力あり 本人の状態 判断能力不十分
本人が自由に選択 選任される後見人 家庭裁判所の判断
任意後見監督人選任時 効力の発生 審判確定から2週間経過時
契約内容による 成年後見人の事務内容 後見人の判断による
取消権なし 後見人の取消権 取消権あり

任意後見契約をより充実させるためのオプション

任意後見契約の場合、契約を締結するタイミングと任意後見契約が実際に発効するタイミングは異なります。場合によると、契約から10年以上経ってから発効することもあるでしょう。つまり、契約をしたはいいものの、任意後見人就任予定者と本人が長期間に渡って接触することがなく、本人の判断能力の低下などに気付かないこともあるため、適切なタイミングで任意後見契約を発効させられない可能性があります。もちろん、長い間会っていなかった人に後見人をお願いすることに対する抵抗感もあるでしょう。
こういった事態を防ぐために有効なのが、「見守り契約」や「財産管理委任契約」などです。任意後見契約が発効するまでの間はこういった契約を結び、任意後見契約と併せて活用することによって、任意後見のデメリットを埋めることができます。

オプション①見守り契約

任意後見契約締結後、後見人就任予定者と本人が定期的に連絡をとったり面談をする契約です。「2ヵ月1度の面会を実施する」など、連絡や面談の頻度や報酬を記した契約を結ぶことによって、後見人就任予定者が将来本人に代わって財産管理事務や任意後見事務を行なうときに備えます。実際の任意後見スタートに備えての信頼関係構築、といった側面もあります。

オプション②財産管理委任契約

まだ後見を申し立てるほどには本人の判断能力が衰えていないものの、病気や加齢によって本人の心身の状態に問題が生じた場合に備えた契約です。また、任意後見契約は障害などによって歩けないなど、身体的な障害だけでは発効できません。そういった場合の支援も可能となるのが大きなメリットです。委任契約を結ぶと、任意後見契約発効までの間、金銭管理や入院等の医療契約など、任意後見事務の一部を受任者に任せることが可能になります。

オプション③死後事務委任契約

本人死亡後の葬儀や埋葬などの手続きは、任意後見事務の契約内容とすることはできません。もし身寄りがない場合など、こういった事務を任意後見人にお願いしたい場合は、任意後見契約とは別に「 死後事務委任契約 」を締結することによって可能となります。

オプション④遺言

任意後見は法定後見とは異なり、遺言能力が制限されることはありません。しかし、本人の精神状態によって遺言が無効と判断される可能性はあります。自分の財産などについて意向がある場合は、遺言を作成されることをおすすめいたします。

遺言についての詳細は、弊事務所のホームページをご覧ください

司法書士古川法務事務所「遺言」について

価格表(消費税抜)

報酬額(消費税込) 加算・備考 税金・手数料等
任意後見契約書作成  11万円 専門家による相談、任意後見契約書作成、公証人との打合せ、戸籍・住民票取得を含みます  実費は公証人費用などで2~3万円ほど
見守り契約書作成 7万7000円 専門家による相談、見守り契約書作成、公証人との打合せを含みます  公証人費用などで1万円~2万円ほど
財産管理委任契約作成 7万7000円 専門家による相談、財産管理委任契約書作成、公証人との打合せを含みます 公証人費用などで1万円~2万円ほど
死後事務委任契約作成 7万7000円 専門家による相談、死後事務委任契約書作成、公証人との打合せを含みます 公証人費用などで1万円~2万円ほど

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