後見、保佐、補助の審判によって本人の判断能力を補い、権利保護が図られるわけですが、その反面、これまで認められてきたことが認められなくなるなど、以下のようなデメリットも生じます。

1、会社の役員等になれない
株式会社の業務執行を行う取締役として社会生活・経済活動を行うのは、実際問題として難しいと判断されます。審判が確定すると、それまで取締役の地位にあった場合は退任することになります。
ただし、これは被後見人と被保佐人についてのみ。被補助人は特に制限がありません。また、持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)の場合で、被後見人になっても退社しない旨の定款の定めがある場合は社員としての地位を維持することが可能です。

2、特定の職業に就けない
医師や弁護士、司法書士、税理士など、特定の職業に就くことができなくなります。これも補助人は除きます。

3、印鑑登録が抹消される
各自治体によって扱いは多少異なりますが、成年被後見人に関しては印鑑登録が抹消されます。もちろん、あらたに印鑑を登録することはできません。

4、選挙権や被選挙権を失う
これも成年被後見人についてのみですが、あらゆる選挙に関する投票などをする権利や、立候補する権利がなくなります。

以上のように、後見等が開始することによって社会的な地位や権利が制限されることになります。後見等の申立を行うということは、それだけ判断能力が衰えているのでしょうから、上記のような制限が課されても問題はないことが大半だと思われます。しかし、給与を得るためだけに会社の取締役に就いているなどの事情がある場合は、申立前に対策を講じることが必要になるでしょう。