かつての禁治産制度とは異なり、成年後見が開始しても戸籍にその旨が記載されることはありません。その代わりに、成年後見人である旨が登記されることになります。許認可の申請や各種資格の登録申請時などに「登記されていないことの証明書」が要求される場合がありますが、この証明書は登記事項に基づいて、成年被後見人や被保佐人、被補助人ではないことを証するものです。

では、どのような場合に登記がされるのか? また、どのような場合に登記しなければならないのか?

1、登記されるが、申請は不要な場合
・成年後見が開始した場合
・辞任や解任によって成年後見が終了した場合

2、登記申請が必要となる場合
・本人や後見人(後見監督人)の氏名や住所などの登記事項に変更が生じた場合
・本人の死亡によって成年後見が終了した場合

1は、家庭裁判所が主導しているため、東京法務局への嘱託によって登記されることになります。そのため、本人や後見人が登記申請を行う必要はありません。これに対して、2の場合は家庭裁判所がその事情を把握しているわけではないので、登記を行う必要が発生するわけです。