今回はちょっと趣を変えて、認知症が描かれている映画をご紹介します。四大認知症ごとに紹介していきますが、やっぱり世間の認知度が高いアルツハイマー病が多くの映画の題材として好まれているようです。それぞれの特徴が、映画を見ることによって分かるのではないでしょうか。

アルツハイマー病

個人的に最も印象に残っているのは、萩原浩のベストセラー小説を映画化した「明日の記憶」でしょうか。広告代理店でバリバリと働く渡辺謙演じる主人公の病が徐々に進行していく中で、夫婦や家族の愛情を再認識させられるストーリーが涙を誘います。この他にも、洋画なら主演のジュリアン・ムーアがアカデミー賞を受賞した「アリスのままで」、韓国映画なら「私の頭の中の消しゴム」と、数多くの作品が存在します。
物忘れ程度の軽度の記憶障害に始まり、失語、怒りっぽくなるなどの人格の変化など、映画によって描かれる症状は様々です。どちらかというと、若年性が取り上げられることが多いようです。

比較的新しいところでは、2021年のアカデミー賞を主演のアンソニー・ホプキンスが獲得した「ファーザー」があります。主人公が認知症であることを知らずに見たら、サスペンス映画かと思ってしまうような内容ですが、それこそが認知症のリアル。認知症患者が実際に見ている(であろう)世界を、垣間見ることができる内容となっています。

ピック病(前頭側頭型認知症)

アルツハイマー病があまりにもメジャーゆえか、他の3つの認知症を題材とする映画は減ります。その中で、ピック病を扱っているのが「わたしの人生我が命のタンゴ」です。監督が精神科医の和田秀樹氏ということで、ピック病の症状であるエキセントリックな症状や言動など、リアルな描写に注目です。

レビー小体型認知症

こちらは2017年3月現在公開中の映画「話す犬を、放す」があります。昔飼っていた犬が見える(これが題名にもつながる)など、幻視や知覚障害が特徴と言えるレビー小体型認知症を患う母と、その娘との生活をコミカルに描いた作品です。主に舞台となっているのが所沢ということで、見知った場所が出てくるのもポイントです。

脳血管性認知症

調べてみたんですが、この病を題材とした映画が見つからず…。症状にムラがあるのが特徴なので、そういった点で映画の題材としては使いづらい面があるのかもしれません。